
サクランボの葉にキリガ系の幼虫がいました。チャイロキリガの幼虫に似ています。
この幼虫をよく見ると、頭が2つあるように見えます。

大きな頭の前に小さな頭が付いています。正確には、小さな頭が現在の頭で、大きな頭は皮から透けて見えている脱皮後の頭。縦に並ぶ単眼もはっきり透けて見えています。
また、小さな頭の真ん中に見えている茶色いものは、これもまたはっきり見えている脱皮後の頭の上顎。つまりは、この幼虫はまさに脱皮直前の状態なわけです。
ちなみに、この状態での小さな頭の単眼や上顎はすでに機能していません。

小さな頭と皮はつながっており、まさにこの体の頭は小さな頭・・・だったのであります。
脚の爪も皮の中に脱皮後の爪が茶色く見えています。

はっきりと透けて見える脱皮後の頭の茶色い上顎。ω←こんな形の上唇も見えています。
脱皮とは現在の皮を脱いで大きくなることですが、小さい体の中で大きな体を作らなければなりません。柔らかくしぼんだ形状または折りたたまれた形状で作っておいて皮を脱いだ後に体液を流し込んで膨らまして拡げて硬化させるのは羽化時の翅がそうなのですが、幼虫の頭はもともとがっしりと硬く、また皮を脱いだ時点ですぐに使える硬い上顎が欲しいとなれば、体液を流して硬化ではなく硬いものをじっくりと作っておく策なのかもしれません。なので、首のあたりで大きな頭を新規で作るのかも。
人間のように無段階で大きくなるのであれば細胞分裂で伸長させればいいのですが、昆虫は大きさも姿かたちも突如として変わるので、随所で遺伝子に刻まれたワザを発揮するのでありますな。
いやはや、やっぱり昆虫はすごいです。宇宙から来た種族だと思いますw